数学サイトを作る目的を決めよう
はじめに、なぜ数学サイトを作りたいのかを明確にしておきましょう。
例えば、
- 自分の学習ノートをまとめてアウトプットしたい
- 人に教えることで理解を深めたい
- 趣味
- 入試問題の解法を公開・共有したい
- 将来的に収益化を目指したい
など、目的は人それぞれです。どんなテーマをメインにするか(受験数学、大学数学、統計、応用数学など)によってサイトの構成や使うプラットフォームも変わってきます。
- 具体的なテーマを決めることで、読者も「ここに来れば自分の知りたい情報がある」と認識しやすくなる
- 目的が明確だとモチベーションが維持しやすい
プラットフォームを選ぼう
無料ブログサービス(はてなブログ・note・mathlogなど)
- メリット
- 初期費用がかからない
- 会員登録するだけで記事を書き始められる
- コミュニティ機能があり、読者を獲得しやすい
- デメリット
- 独自ドメインを取得しない場合、URLにサービス名が入る
- カスタマイズの自由度が低い
- 広告の表示やサービス側の規約に制限がある
WordPress(独自ドメイン + レンタルサーバー)
- メリット
- プラグインを使えばカスタマイズがしやすい
- デザインの自由度が高い
- 独自ドメインを取得しやすい
- 将来的に広告収益やアフィリエイトなども実施しやすい
- デメリット
- サーバー代やドメイン代がかかる
- セキュリティ・バックアップなどのメンテナンス作業が必要
WordPressであれば、後述するMathJaxやKaTeXなどのプラグインを導入することで、きれいに数式を表示できます。
独自ドメインとレンタルサーバーについて
独自ドメインとは、自分専用の「○○.com」「○○.net」などのURLのことです。独自ドメインを使うメリットは、以下のようなものがあります。
- ブログのアドレスを好きに決められる
- ブランディングや信頼性の向上
- 将来的に他のサービスに乗り換えやすい(移転してもURLを維持できる)
レンタルサーバーは、自分のサイトのデータを設置する場所を借りるサービスです。
一般的な初心者向けのサーバーとしては、エックスサーバーやロリポップ!、さくらのレンタルサーバなどが有名です。
本記事では独自ドメインとレンタルサーバーを使った方法について解説します。
手順の流れ
以下では、WordPressを使って数学系のサイトを構築し、数式を表示するまでの流れをまとめています。特に、1. サーバー契約 → 2. ドメイン取得・紐づけ → 3. WordPressインストール → 4. functions.phpの編集 → 5. 数式表示という大まかな手順を順番に解説します。
- サーバー契約
- ドメイン取得・紐づけ
- WordPressインストール
functions.php
の編集- 数式表示
最後に、数式表示の主な方法としてKaTeX・MathJax・画像を使ったやり方も紹介します。
サーバーの契約とドメイン名の決定(契約)
サーバー契約
- レンタルサーバーを選ぶ 代表的なサーバーとして、エックスサーバー・ロリポップ!・さくらのレンタルサーバーなどがあります。
- 初期費用と月額費用を確認 料金プランや契約期間によってコストが変わります。初心者向けのお試しプランや、キャンペーンを活用するのもおすすめです。
例えば、エックスサーバーでは次のプランが用意されています。
契約期間 | スタンダード | プレミアム | ビジネス |
---|---|---|---|
3ヶ月 | 1,320円 | 2,640円 | 5,280円 |
6ヶ月 | 1,210円 | 2,420円 | 4,840円 |
12ヶ月 | 1,100円 | 2,200円 | 4,400円 |
24ヶ月 | 1,045円 | 2,090円 | 4,180円 |
36ヶ月 | 990円 | 1,980円 | 3,960円 |
*表のプランの値段は2025/03/20時点 プラン内容の詳細は次のページで確認してください。
ドメイン名の決定
- ドメイン名は早めに確保する サーバー会社によってはドメイン取得無料キャンペーンを行っていることもあるので、要チェックです。
- サイトのテーマや名前に合わせたドメインを考える
例)math-●●.comなど
ドメインの取得先としてXserverドメインなどがあります。
また、「xserve ✖ onamae.com」を使う方法もあります。次の記事で解説しています。

ドメインとサーバーの紐づけ
- ドメイン管理画面でDNSを設定
- レンタルサーバー側で設定されている「ネームサーバー情報」を、ドメイン管理画面(お名前.comやムームードメインなど)に登録します。
- ネームサーバー設定を間違えると、正しくサイトが表示されないので注意してください。
- サーバー管理画面でドメインを追加
- サーバーのコントロールパネル(例:エックスサーバーの管理画面)で「ドメインの追加」メニューから、取得したドメインを設定する
- 数時間〜1日程度で設定が反映され、ドメインとサーバーが紐づきます
WordPressのインストール
自動インストール機能を使う場合
- 多くのレンタルサーバーには「WordPress簡単インストール」機能があります。
- サーバー管理画面にログインし、「WordPress簡単インストール」や「CMSインストール」を選ぶと、必要事項を入力するだけでWordPressがすぐに使えるようになります。
手動インストールの場合
- WordPress公式サイト(wordpress.org)から最新のWordPress本体をダウンロード
- サーバーの「public_html」や「www」フォルダにアップロード
- ブラウザでドメインにアクセスし、インストールウィザードに従って設定する
functions.phpの編集
WordPressの外観(テーマ)や機能をいじる際、functions.php
を編集することがあります。
管理画面 → 外観 → テーマファイル編集 から、子テーマのfunctions.php
を開きます。
数式表示
いよいよ数学系サイトの要ともいえる数式表示の段階です。先ほど述べたfunctions.phpを編集します。テーマファイルからfunctions.phpを編集してください。
KaTeXを使う
- 特徴: レンダリングが高速・軽量
- 導入手順(例):
- WordPress管理画面 → プラグイン → 新規追加 → 「KaTeX」で検索してプラグインをインストール
- 有効化後、プラグインの設定画面で「インライン数式を
$ ... $
、ディスプレイ数式を$$ ... $$
でレンダリングする」などの設定をする - 記事の中で
$ a^2 + b^2 = c^2 $
のように書くと、公開時・プレビュー時に数式が美しく表示される
function add_katex_script() {
echo '
<link rel="stylesheet" href="https://cdn.jsdelivr.net/npm/katex@0.16.9/dist/katex.min.css">
<script defer src="https://cdn.jsdelivr.net/npm/katex@0.16.9/dist/katex.min.js"></script>
<script defer src="https://cdn.jsdelivr.net/npm/katex@0.16.9/dist/contrib/auto-render.min.js"
onload="renderMathInElement(document.body, {
delimiters: [
{left: \'$\', right: \'$\', display: false},
{left: \'$$\', right: \'$$\', display: true}
]
});">
</script>
';
}
add_action('wp_head', 'add_katex_script');
MathJax を functions.php に追加する方法
- 特徴: LaTeX互換性が高い、カスタマイズ性が豊富
- 導入手順(例):
$...$
または\\( ... \\)
の形式で、インライン数式を記事内に書けるようになります。\\[
と\\]
や$$ ... $$
のようなディスプレイ数式も対応します。
function add_mathjax_script() {
echo '
<script>
MathJax = {
tex: {
inlineMath: [["$", "$"], ["\\\\(", "\\\\)"]]
},
loader: { load: ["input/tex", "output/svg"] },
options: {
enableMenu: false
}
};
</script>
<script async src="https://cdn.jsdelivr.net/npm/mathjax@3/es5/tex-svg.js"></script>
';
}
add_action('wp_head', 'add_mathjax_script');
画像を使う
- 特徴: サイトの表示環境に依存しない(JavaScriptなどが不要)
- 方法:数式を画像ファイルとして生成し、メディアとしてアップロードして貼り付ける
- デメリット:
- 数式を修正したいときに、いちいち画像を再生成する必要がある
- 拡大・縮小時の画質が低下する可能性がある
- データ量が増えるとページが重くなる
- メリット: 導入が簡単
まとめ:スムーズに作業するコツ
- サーバー & ドメインの設定: レンタルサーバーの公式マニュアルやサポートをうまく利用しながら、確実に紐づけを完了させる
- WordPressのインストール: 初心者は「自動インストール」を使うと簡単
- functions.php編集は慎重に: 子テーマを利用し、バックアップを忘れずに
- 数式表示のプラグインを活用:
- KaTeX: 高速レンダリングが魅力
- MathJax: LaTeX互換性に優れ、カスタマイズ性が高い
- 画像: どうしてもプラグインが使えない場合の最後の手段
数式表示のためのプラグインはいくつか存在しますが、自分のサイトの速度や使いやすさ、そしてLaTeXに求める機能(特殊記号対応の有無など)を考慮して選ぶのがポイントです。
あとは、実際に試しながら記事を書いてみることで慣れていきましょう。徐々にカスタマイズを重ねて、自分だけの数学系サイトを充実させてください。
よくあるトラブルとQ&A
Q1. 数式がうまく表示されない
- 原因: プラグインが有効になっていない、記法が誤っているなど
- 対策: まずはプラグインの設定画面を確認し、数式の囲み記号が正しいかをチェックする
Q2. サイトが急に表示されなくなった
- 原因: サーバーの契約更新忘れ、プラグインのアップデート失敗、テーマの不具合など
- 対策: サーバーの管理画面で契約状況を確認。WordPressの場合はプラグインを1つずつ無効化しながら原因を特定
Q3. 画像や数式を多数入れるとページが重い
- 原因: 高解像度画像や、大量の外部リソース読み込み
- 対策: 画像は適切なサイズに圧縮。CDNサービスを利用して読み込みを高速化することも検討する
Q4. 読者が集まらない
- 対策: SNSや他のブログサービスで記事を告知する。自分からも積極的に他のサイトにコメントやリンクを貼り、交流を増やす
数学系のサイト例
代表的な数学系サイトとあわせて表にまとめました。使用CMSは推測(画像のパスから判定)です。
サイト名 | 使用CMS | 特徴 | URL | 数式表示 |
---|---|---|---|---|
学びTimes(高校数学の美しい物語) | 独自 | 高校数学・入試数学の発展的な内容をわかりやすく解説。 | https://manabitimes.jp/math | katex |
ももやまのうさぎ塾 | WordPress | 「うさぎでもわかる」をコンセプトに、大学数学・情報系科目をやさしく解説。 | https://momoyama-usagi.com/ | MathJax |
とけたろうブログ | WordPress | 統計学や統計検定対策の解説が中心。YouTube連携あり。 | toketarou.com | 画像 |
おいしい数学 | 独自 | 高校数学を中心に体系的に解説。参考書のようなサイト構成。 | https://hiraocafe.com/ | MathJax |
受験の月 | WordPress | 定期テスト〜受験対策に特化。数学以外の教科にも対応。 | https://examist.jp/category/mathematics/ | 画像 |
数学の景色 | WordPress | 高度な数学内容をかみくだいて解説。抽象数学にも対応。 | https://mathlandscape.com/ | Katex |
KIT数学ナビゲーション | 独自 | 高校・大学初級数学をまとめた教育用サイト(金沢工業大学)。 | https://w3e.kanazawa-it.ac.jp/math/ | MathJax |
理数アラカルト | WordPress | 工学・物理数学系の内容が充実。大学レベルにも対応。 | https://risalc.info/ | MathJax |
なかけんの数学ノート | 独自? | 高校数学を中心に、丁寧な過去問解説を展開。 | https://math.nakaken88.com/ |
MathJax
|
統計WEB – BellCurve | wordpressっぽい | 統計学に特化。統計検定対策やツール提供も。 | https://bellcurve.jp/statistics/course/ | 画像 |
マスジョイ | Laravel | 数学、プログラミングの解説とともに、計算ツールを提供。 | https://www.math-joy-life.com/ | katex |
*2025年4月3日時点